外国人を雇用している企業の担当者から「外国人は時間にルーズで、欠勤や遅刻が多い」という不満の声をよく聞きます。たしかに、それも一理あると思いながらも、外国人労働者を雇用する日本人が知っておくべき歴史と未来について考えました。

  1. 日本はなぜ外国人を雇用しているのか?
  2. 外国人は時間にルーズなのか?
  3. かつての日本人はどうだったのか?
  4. 外国人労働者に時間を守らせるためには
  5. まとめ

日本はなぜ外国人を雇用しているのか?

総務省が発表している『住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数』の調査によると、2019年1月時点の日本の総人口は前年から0.21%減少し、1億2,744万3,563人となっています。

このうち、日本人は1億2,477万6,364人で前年から0.35%減少しており、外国人は266万7,199人で前年から6.79%増加しています。日本の人口の2.09%を外国人が占めている状況です。

<全国の人口、人口増減>
○全国の人口は、総計1億2,744万3,563人、日本人住民1億2,477万6,364人、外国人住民266万7,199人
○日本人住民は、平成21年をピークに10年連続で減少。現行調査開始(昭和43年)以降最大の減少数
○外国人住民は、前年より増加。対前年で6.79%増と高い伸び

出典:総務省『住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数』2019年7月

この要因は言わずもがな、少子高齢化による生産年齢人口の減少を外国人で補う、という近年の傾向ですが、内閣府がまとめた『高齢社会白書』では今後、この傾向は今後、更に顕著になると予測されています。

我が国の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、令和11(2029)年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、令和35(2053)年には1億人を割って9,924万人となり、令和47(2065)年には8,808万人になると推計されている。

出典:内閣府『高齢社会白書』2019年

外国人は時間にルーズなのか?

外国人労働者は、今後ますます価値の高い働き手になってくると思われますが、そんな中で、外国人を雇用している企業の担当者から「外国人は時間にルーズで、欠勤や遅刻が多い」という不満の声をよく耳にします。

私自身も、海外旅行での実体験やテレビ番組を通して「外国は時間にルーズ」という漠然とした印象を持っていますが、この印象の多くは公共交通機関(鉄道・空港など)に関しての印象です。

それ以外のシーンでは特にこのような場面には遭遇していませんが、逆に日本では、残業が多い、会議が長い、といった終わりの時間を守らないルーズさが目立つように感じます。

かつての日本人はどうだったのか?

今から150~300年前の江戸後期・明治初期に日本を訪れた外国人たちが、「日本人は時間にルーズ」という印象を持ったという文献が残されています。

「修理のために満潮時に届くよう注文したのに一向に届かない材木」「工場に一度顔を出したきり二度と戻ってこない職人」「正月の挨拶回りだけで2日費やす馬丁」――。「この分では自分の望みの半分も成し遂げないで、此処を去ることになりかねない」

出典:橋本毅彦・栗山茂久編著『遅刻の誕生』三元社

日本人の時間意識は、明治以降の近代化により外国人(西洋人)に学ぶことで形成されたもので、日本人がもともと持っていた性質ではなかったことが伺えるでしょう。

外国人労働者に時間を守らせるためには

厚生労働省が発表している『外国人雇用状況の届出状況』の調査によると、2019年10月末時点の日本で働く外国人の国籍は、中国(外国人労働者数全体の25.2%)、ベトナム(同24.2%)、フィリピン(同10.8%)など、近年成長の著しいアジア諸国が多いことが分かります。

○外国人労働者数は1,658,804人で、前年同期比198,341人、13.6%の増加(平成19年に届出が義務化されて以降、過去最高を更新)
○外国人労働者を雇用する事業所数は242,608か所で、前年同期比26,260か所、12.1%の増加(平成19年に届出が義務化されて以降、過去最高を更新)
○国籍別では、中国が最も多く418,327人(外国人労働者数全体の25.2%)。次いでベトナム401,326人(同24.2%)、フィリピン179,685人(同10.8%)の順。対前年伸び率は、ベトナム(26.7%)、インドネシア(23.4%)、ネパール(12.5%)が高い。
○在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」の労働者数が329,034人で、前年同期比52,264人、18.9%の増加。また、永住者や日本人の配偶者など「身分に基づく在留資格」の労働者数は531,781人で、前年同期比36,113人、7.3%の増加などとなっている。

出典:厚生労働省『外国人雇用状況の届出状況』2019年10月

これらの国は、かつての日本と同様、発展途上の国です。

日本に働きの場を求める外国人は、日本の技術を学びたいという勉学の高い意識を持ち、日本での生活費や故郷の家族への仕送りのため日本でお金を稼ぐことに努力を惜しまない、といった日本で仕事をするモチベーションが非常に高い共通点があります。

外国人労働者が時間やルールを守らない場合、ただ不満を持ったり嘆くだけでなく、かつて日本人が西洋人から教えられたように、それを守ることの大切さを教えてあげることが必要なのではないでしょうか。それが、日本の技術習得や、昇給・昇格につながると気付けば、外国人は自ずとやり方を変えてくれます。

まとめ

いま新型コロナウィルス感染症により、人手不足は解消されつつありますが、それはあくまで一時的なものです。十年、二十年といった中長期のスパンで事業を考える場合、外国人の労働力はもはや必要不可欠です。

外国人労働者を、後進国の安価な労働力と考える時代はとうの昔に終わりを告げ、これからの日本を支える大切な人財と考えるべき時代がきていることを、雇用者ひとりひとりが自覚し、行動してくことが求められていると考えます。